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第1巻 第1号
更新日 2002.5 |
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くすりはどのように保管したらいいでしょうか。 |
薬は化学物質ですので、保存状態が悪いと変化を受けやすく、効果にも悪影響を与えます。とくに、高温多湿時は薬が吸湿して変化しやすくなりますので、保管には十分な注意が必要です。薬の効果を十分に発揮させ、かつ安全に服薬するためには、個々の薬に適した保管が大切です。有効期間、使用期限は病院や薬局で調剤してもらった薬については必ずしも通用できません。患者さんに手渡した薬は包装が簡易なものになっていますから、湿気等も通しやすくなっています。散剤や水剤は他の薬と混合することが少なくありませんが、このような場合は長期間の保証はできません。
主な薬剤の保存時における注意事項は次の通りです。 |
(1)散剤、錠剤、カプセル剤 |
梅雨時期、夏期は、湿気を防ぐために、フタの閉まる缶に乾燥剤を入れて保存すると安心です。とくに健胃散、漢方薬などの散剤は、吸湿して固形化しやすいので注意して下さい。 薬の中には揮発佳のものもあります。狭心症の発作の時に舌下で溶かして使用するニトログリセリンという丸剤がありますが、これは小さな瓶に入っています。蓋をしないで置くとニトログリセリンが揮発し効き目がなくなります。狭心症発作時にこのような薬を使用すると大変です。この薬の場合、成分が揮発していなければ、舌にピリッと感じる苦味があります。蓋をしっかりするように気をつけて下さい。ふたを開けてから三カ月以上過ぎた場合には使用出来るかどうか薬剤師に相談してください。 |
(2)水剤 |
直射日光を避け、冷蔵庫に保存して下さい。繰り返して使用するので、細菌で汚染され可能性があり、これを室温で保存していると細菌が繁殖します。また室温では中の成分が変化する可能性が高くなります。凍結させると性状の変化するものがありますから、冷凍庫内での保管は避けましょう。水薬のカップ、水薬瓶の口などは、細菌汚染を受けやすいので、常に清潔に保ちましょう。また、飲み残した薬は、変質等を考慮して速やかに捨てて下さい。これは散薬でも同様です。 |
(3)点眼剤 |
多くの点眼剤は室温で保有します。しかし、錠剤や散薬付きの点眼薬で既に溶解して使用中のものは、室温で有効成分が変化し、薬効が低下するものがあります。このような薬は冷蔵摩に保管してください。点眼剤等で赤や黒の袋に入れてあるものがありますが、これはその薬が光に不安定であるので、遮光(しゃこう)しているのです。袋に入れて保有して下さい。
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(4)坐薬 |
坐薬は体温で溶解する薬です。十五度以下の涼しい所(冷蔵庫等)に保存しましょう。特に夏期は室温が高く、坐薬が溶けやすいので、注意して下さい。夏期に車内等に放置しないで下さい。 |
(5)注射剤(インスリン、成長ホルモン剤等) |
凍結を避け、冷蔵庫に保存して下さい。これらの薬を誤って凍結させた場合は、再度溶解して使用したりしないで下さい。凍結融解によって成分等の内容物が変化することがあります。また、携帯時はなるべく温度が上がらないようにしましょう。 以上、保存上の注意点をあげましたが、子供が誤って飲まないように、手の届かない所に置くことも大切です。 |
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